SixTONES『NAVIGATOR』考察 番外編 〜ソロアングル分析

 

 

 

SixTONES 2ndシングル『NAVIGATOR』について、これまで3回に渡って考察を重ねてきたわけですが、

SixTONES『NAVIGATOR』考察 第1弾 - もうとろろ食べられます

SixTONES『NAVIGATOR』考察 第2弾 〜日経エンタを受けて - もうとろろ食べられます

SixTONES『NAVIGATOR』考察 第3弾 〜Full ver. - もうとろろ食べられます

今回は番外編。

初回盤DVDに収録されているMVソロアングルから、メンバー6人それぞれの楽曲の捉え方や、「カッコいい」の概念を探ってみたいと思います。

www.sonymusicshop.jp

 

 

 

ソロアングル概観

まずは全体を通しての感想から。

ソロアングルがどういうものなのか全く予想を立てていませんでしたが、なるほど自由演技。普通ダンスやMVのストーリーが重視されそうなところで、あえて自由演技のソロショットをフィーチャーしてくるSixTONES、いやぁ、SixTONESですね(笑)

とにかく個性を見せる、という。とくと楽しませていただきました。

 

6本通して見て思ったのは、「ダンスを表現方法として持っている人と持っていない人がよくわかる」ということ。別に持ってるから良いとかではなく、音楽が流れたら自然に踊ってしまう人と、そうでない方法で表現する人の違いが明確に出たな、ということです。

メンバーそれぞれのパフォーマンスや音楽性を理解する上で、全くの自由演技というのはたいへん良い資料なのだなと思いました。

私の基準で分類するとこうですかね↓

〈ダンス〉ジェシー、京本、慎太郎

〈それ以外〉北斗、髙地、樹

「それ以外」の3人も表現は三者三様。 一人として誰かと同じような表現をしている人がおらず、「個性が強いとはこのことか……」と実感しました(笑)

では一人ずつ感想と考えたことを書いていきます!

 

ジェシー

MV本編からジェシーさんずば抜けて最強だな! と思ってましたが、やっぱり最強ですね!!

ジェシーは「音が鳴ったら音ハメせずにはいられない」といった印象。彼はNAVIGATORという楽曲を、「音」「音楽」として聴いているようです。

特にラップ前半の音ハメフリーダンスが好きすぎました……。あと、何回見ても Hey! のハメ方常人じゃないですよね。どうやったらあの動きになるんや。

 

あとジェシーちゃん、スーパー髙地タイムふざけた? ふざけたやろ?(笑)あれ編集する人の身にもなってみてくれよ(笑)

ジェシーちゃん、本編で使われてもいい部分と使われないであろう部分(スーパー髙地タイム、上着脱いで振り回すところ、終盤急に止まって呆然と上を見上げるところ)の差が激しい。かと言って、ここまでは適当でここからは本気〜みたいに打算的に振る舞っているわけでは全くありません。あくまでも自然な動作の流れのうちに、ハチャメチャカッコいい音ハメと、ちょっと力を抜いた部分が同居しています。いや、力はずっと抜けている。全く力まず、おふざけの延長線上にダンスがあるんです。つまり、ジェシーにとってダンスとは、そのレベルで自然に出てくるものなのです。

 

アイドルサイボーグ・ジェシーちゃん、当たり前ですが、カメラの前で気を抜いているはずがありません。それなのにどうしてこうも自然体でいられるのか。

ジェシーは普段からDAHAHAズドンノリでいるそうですね(笑)カメラが回っていてもいなくても、常にあの「ジェシー」でいるということです。彼にはオンとオフの区別がありません。ダンスもそれと同じ。ちょっと鼻歌を歌うくらいのノリで、MVになるようなパフォーマンスができてしまうのです。……それはちょっと誇張しすぎたかも(笑)

アイドルサイボーグって、素がアイドルなんですよ……

 

それからジェシーの動きって、上方に手を伸ばすことが多いですよね。ジェシーはお空に何を見ているのか。彼の思想に関わってくる香りがしているので、引き続き注視していきたいです。

 

京本大我

2本目は京本さん。この方もジェシーに並ぶ音ハメ職人ですね。ですので、随所随所で華麗なる音ハメフリーダンスが登場します。

しかしジェシーと明らかに異なる点は、画が比較的静かな点。激しい動きは数ヶ所のみで、ただ歩いてみせたり、頷きや手だけでリズムをとったりする時間がかなり長くなっています。

 

動きだけではありません。彼について着目したい点は表情と視線です。一番最後の「可能性をゼロの先へ」以外、一貫して余裕そうな表情をし続けています。そして、カメラ目線が非常に少ない。決め台詞のような箇所以外はほとんど視線を逸らしています。どこかそっけなくもあるクールな印象は、この余裕な表情とカメラ目線の少なさからくるものです。

しかし、本当にカメラに興味がないのではなく、逆に京本さんは非常にカメラを意識しているように見えます。おそらく、「クールに、余裕そうに振る舞うとカッコよく見える」というのを狙っているはずです。

だって、京本さんが打算一切なしで本当に曲に憑依した時のヘドバン、知ってますから……(笑)

 

京本さんは音楽に合わせて自然なダンスをしつつも、音楽とは関係なく「クールに見せる」というモデル的な表現をしている、ということです。かなり「見られる」ことに自覚的ですが、その力みをカバーするほどの画ヂカラと所作の美しさを持っているのでずるいですね〜。

撮影時に富豪刑事第1話が放送済みだったかはわかりませんが、この余裕な振る舞いは神戸的とも言えるかもしれません。アニメ好きの京本さんならではの「カッコよさ」のセンスです。

 

松村北斗

はい、今回の本題の一つです。松村北斗、これはめちゃくちゃ興味深い。だって一人だけ明らかに違うことしてますよね?

おそらくみなさんもお気づきのはずです。そう、松村北斗、NAVIGATORという楽曲を、音・音楽としてではなく、ストーリーとして解釈しているんです。そして、踊るのではなく「演じて」いるんです。

 

考察第3弾にも書きましたが、北斗はイントロからラップにかけて、ずっと何か葛藤しているような演技をします。もうカメラなんて忘れてるんじゃないかっていうくらい。京本さんと一、二を争うカメラ目線の少なさです。しかも、京本さんのように「俺を見ろ」的な視線の外し方ではなく、3分の2(体感)は完全に自分の世界観に没頭しています。

そして、白い壁をなぞる、もたれる、叩く。ただのセットだったものが、牢にでもなったようです。すごい。青い光を追ったり避けたりするうちに、光すら何らかの意思を持って北斗を絡め取ろうとしているように見えてきます。

大サビに突入すると一転、不敵な笑みを浮かべて荒々しい演技をします。NAVIGATORを疑い闇へと進むことを決め、ダークヒーローに変身。北斗の歌詞解釈がはっきりと見えます。

 

初見で私は、「ああ、そりゃ役者志望のはずだ……」と納得しました。音楽が流れて自由に動いていいよと言われたら、踊るのではなく、演じる。生粋の役者ですよね。

北斗のすごいところは、芝居にとどまらず、「音楽を演じる」ことができる点です。このソロアングルMVはほぼ演技でダンス的要素はわずかですが、普段グループで踊る際、北斗はダンスすらも「演じて」いるのです。

ジェシーや京本が音を踊る人ならば、北斗は「感情を踊る」人なのでしょう。曲に込められた感情を、身体で「演じ」、「表現」する。北斗の存在で、SixTONESのパフォーマンスは、生々しくエモーショナルになるのです。

 

髙地優吾

髙地さ〜〜ずっとハマ!!

ひたすら横浜!!!

 

もともとダンスが得意ではないこともあり、音楽へのノリ方自体は他のメンバーに比べるとやや硬い印象。音楽を表現するというより、「カッコいいところを見せる」カメラアピールにほぼ全力を注いでいるように見えます。カメラ目線の割合もほぼトップでしょう。

では、その「カッコよさ」とは何か。滲み出る育ちの治安の悪さ(褒め言葉)です。

あれは"""ガチ"""の人じゃないと出せないコワさですよね。表情にドスが利いてる。

そして、音楽に合わせて上半身はいろいろ動きますが、実は足のリズムはほぼずっと一定です。ひたすらヤカラの歩き方をしてます。怖い怖い。

 

何がアレって、絶対普段の髙地が見せない表情だから肝が冷えるんですよね。時々ハマが垣間見えることはあるけれど、4分間ハマを浴びせられ続ける機会なんて他にないじゃないですか。私は髙地担さんの呼吸が心配です。

ジェシーや北斗の表現は普段のイメージと地続きで、その中で様々な顔を見せますが、髙地は普段のスマイルこーちとハマの優吾によるギャップの一本勝負ですね。「優吾しんどい」がパフォーマンス中の武器として使われ始めたということで、ここから磨かれていくのが末恐ろしいです。ていうか、スマイルしながらハマを出すとかいう恐怖の極致が任せろLOVEなんだよな……これ全部褒めてますよ。

 

ずっと指先だけで表現するのは、あれは何がルーツなんだろう……? 手がキレイでした……(小並)

 

森本慎太郎

はい、真打。

私が最も衝撃を受けたのは慎太郎ですね。

最初に驚いたのは、「慎太郎ってそんな顔するの!?」

次に驚いたのは、「そんな狭いとこでそんなに踊るの!?」(間奏部分の話です)

 

今まで自担以外のパフォーマンスをあまりしっかり見ていなかったのを反省しました。慎太郎こそ憑依型じゃないですか!? ダンスはもちろん、うわ〜さすが実力者! モリティン! って感じでしたが、こんなに恐ろしい(褒めてる)表情をするとは……

京本や樹など唇を舐めているメンバーはいましたが、「舌舐めずり」をしたのは慎太郎だけです。いや怖いって。

 

6人中、ぶっちぎりで画の激しい慎太郎ソロアングル。4分間ずっと踊っています。

ジェシー同様ガッツリ音を取って踊りまくるわけですが、自然体のジェシーに対して、慎太郎は油断も隙もございません。視線もかなりの割合でカメラに向けられ、完全に「見せるためのダンス」をしています。どう踊ったらカッコよく見えるか、熟知しているわけです。

100%のダンスに加えて、表情による感情表現もしていますね。北斗のようにストーリー性を持たせるのではなく、最初から最後まで怪しげなダークヒーローの様相です。

つまり、身体で音を、表情で歌詞の世界観を表現している。まるで、NAVIGATORという楽曲がそのまま人間の形となって現れたかのようです。音を消して映像だけを見ていても、不穏で攻撃的なストリングスの音色が耳元で聴こえてきます。

また、音ハメだけでなく「Ways down」や「無限大」などのキャッチーな動作から、音だけでなく歌詞をも踊れることがわかりますね。慎太郎さん無敵では?

 

こんなに慎太郎のパフォーマンスがエグいなら、一回慎太郎センターでゴリゴリに踊る曲を出してほしい。切実に。Mステで不敵な舌舐めずりして全国民に見つかってほしい……

ロックナンバーでヘドバンする京本さんを彷彿とさせるほど、水を得た魚のように踊りまくる慎太郎。NAVIGATORの裏の主役は、森本慎太郎なのかもしれません。

 

田中樹

最後は樹。樹はけっこういつも通りの田中樹でしたね! NAVIGATORだからって特別に表現方法を変えることはなく、ラッパーらしく下へ下へとビートを刻んでいました。

具合の悪いことに私は最近樹を子猫ちゃんか何かだと思っているので、終盤の「無限大」で両腕をわーっと広げるのを見ると毎回「可愛い〜!」が出てしまいます。これは脊髄反射です。

 

樹について着目したいのは、髙地の「Back back back…」とジェシーの「"…PITCHED UP"」(2つ目のほう)という、他人のパートでも口パクをしている点です。樹の声が後ろに重なってることはありませんよね……? あったらごめんなさい。

自分のパートでなくても歌ってしまうのは、曲をパートごとの断片ではなく、一連の歌詞の流れとして捉えている証拠です。

余談ですが、たまにバックのJr.とかでマイクをつけていなくても歌を口パクしてる子、私あれけっこう好きです。楽曲に対して真摯だなと思います。

話を戻しますが、樹は6人の中で一番、「歌う」意識が一曲を通して繋がっているように感じられます。歌うといっても、メロディではなく、歌詞を「伝える」「喋る」のほうが適切でしょうか。なんともラッパーらしいですね。

カメラに向かって人さし指を立てて振り、歌詞を歌う口をはっきりと見せ、目によってもメッセージを訴えかけます。パフォーマンスとしてスタジオの中で完結させるのではなく、まるで画面の向こうの私たちに問いかけるかのような仕草、表情。誰よりも「言葉で伝える」ことを意識的にやってきた樹らしい表現です。

 

同じ歌詞表現でも、北斗や慎太郎は歌詞の内容を感情表現に落とし込んでいました。樹はそうではなく、あくまで語り手として、言葉そのものに反応しています。こう考えると、音楽と一口に言っても様々な要素の切り取り方が可能なのだなって……たいへん奥深いですね……

 

 

まとめ

私の見方をざっっっくりまとめると、こんな感じでしょうか。

ジェシー:音を踊る

京本:音を踊る・カッコよく見せる

北斗:歌詞の内容を演じる

髙地:カッコよく見せる

慎太郎:音と歌詞を踊る・カッコよく見せる

樹:歌詞の言葉を喋る

もちろん私個人の一見解ですが、こんなに振り幅があるなんて。一人も被らないのすごくないですか?

同じ曲でパフォーマンスしても、その切り取り方・活かし方はそれぞれ全く違う。SixTONESの「個性」というものの正体を垣間見た心地です。こんな6人がいつも同じ振付を踊ってるわけですから、そりゃ揃うわけがねえわ……

 

初回盤DVD、すでに擦り切れるくらい見ましたし、慎太郎ソロアングルなんか一生見続けられる自信があります。マジで全国民NAVIGATOR初回盤買ってよ。

ていうかやっぱ慎太郎センターのダンスナンバー作ってよ。