SixTONES『NAVIGATOR』考察 第1弾

 

 

SixTONES 2ndシングル『NAVIGATOR』。

YouTubeバージョンのMVが公開されたので、私なりに考察を加えてみます。

 

まだ2番が公開されていないので、現状わかっている部分をメモ程度に。

2番の内容次第では解釈が変わる部分が出てくるかもしれません。

 


SixTONES - NAVIGATOR (Music Video) [YouTube Ver.]

 

 

 

〈歌詞考察〉

・1番

歌詞の考察なんて正直野暮かもですが、野暮なことをやっちゃいます。

 

"...PITCHED UP"

【pitch】(動)投げる

「pitched up」を直訳すれば「投げ上げられた」。

【ピッチアップ】

・乗り物など前後・左右・上下が決まった物体が、左右を軸として(いわゆる「上下に」)回転すること。(Wikipediaより)

・航空機が音速に近い高速度(遷音速)で飛行しているとき、速度がある値を超えると、急激に機首上げの状態に入ったり、機首を引き起こす操作をしたとき、予期以上に機首上げの状態になる現象(日本大百科全書より)

つまり「速度を速めすぎて機体が不安定になっている・または回転している状態」でしょうか。過去分詞形なので「俺たちはピッチアップの状態になっている」、もっと噛み砕くならば「俺たちは制御が効かなくなっている」と言えるでしょう。

 

(追記)

長々しく偉そうに語りましたが、「pitch up」は「到着する」という意味だそうです!!!

https://www.ldoceonline.com/jp/dictionary/pitch-up

RT先で指摘していただきました……ありがとうございます🙏

クソッなんだよ使えねえなWeblio(サイトに当たるな)

 

「到着した」ということは、この先読んでいただくとわかるのですが、「ジェシーだけ全部がわかった後、行くべき場所に辿り着いた後の未来視点……?」という疑惑が浮上しました。

 

Where do you long to be?

【long to】〜したがる、切望する

「お前はどこにいたいのか?」

 

Wanna go now? Wanna be free?

「今どこへ行きたいのか? 自由になりたいのか?」

 

Ways to go are limited.

「行く道は限られている。」

 

日常的統計 導き出す Ways down

「日常の統計が、下り坂だと導き出している。」

日常的統計=平凡な先例のデータとでも解釈しておきましょう。

 

Where's the 現在地?

「現在地はどこだ?」

 

渋滞の真っ赤な灯りが Clicks & clicks

「渋滞の真っ赤なテールランプがチカチカして、」

 

Turns round & round

「グルグル回る。」

この「渋滞」は、先へ進もうとする他の者たちがひしめき合っているさまのメタファーと思われます。主人公はこの「渋滞」に巻き込まれて、なかなか前へ進めずにいます。

「渋滞」とは大勢が一方向へ向かおうとして停滞するもの。主人公は、カーナビゲーション(NAVIGATOR)の案内を振り切って、この「一方向」から抜け出せるのでしょうか。

 

Radars, 行く手を問えば

「探知機に行く手を問えば、」

 

"時期尚早だ" "No wayだ"

「『まだ早い』『道はない』」

 

"Hey, come back, back, back!"

「『おい、戻っといで、ほらほら!』」

radarが複数形でしたね。様々なレーダーがみな一様に「やめとけやめとけ」と言う様子がイメージできます。

 

Chasers, 行く背を追えば

「先を行く追跡者たちの背を追えば、」

主人公の求めるもの(のようなもの)を追っている人たちが先にいるのですね。先程の渋滞の様相。

 

疲れた迷い子のシンパシー

「疲れて迷った者たちに飲み込まれてしまう。」

「疲れた迷い子」にシンパシー=共感を抱く、つまり自身も「疲れた迷い子」になってしまう、という解釈でよいでしょうか。やっぱりこれは渋滞の中。

この状況を打開するにはどうすればいいのか。

 

Hey, you!

「なあ、お前!」

 

Way of the light is laying in the dark.

「光の道は闇の中にある。」

 

夜を駆けるか 夜明けに賭けるか

「このまま闇をひた走るか? それとも光が見える一瞬に飛び込むか?」

 

Drive in the dark, go way to the light.

「闇の中を走れ、光への道を進め。」

 

疑えるか 見慣れた NAVIGATOR

「いつも道案内を頼っていたNAVIGATORを疑えるか?(いや、今こそ疑うべきなのだ)」

NAVIGATOR」はAメロの「日常的統計」やBメロの「Radar(探知機)」とほぼ同義でしょう。データに基づいて機械的・常識的・現実主義的な判断を下す存在のようですね。

 

NO LIMIT 無限大 可能性をゼロの先へ 

「限界は無い。可能性0%の先へと持って行くんだ。」

耳コピ段階では可能性「は」と聞こえていましたが、実際は「を」でした。可能性が高くなるのではなく、俺たちが可能性をつくるんだという意志が見えます。

 

NO LIMIT 無限大 未踏を進め doubt navigator 

「限界は無い。常識的な道ばかりを案内するNAVIGATORを疑い、未踏の道を進め。」

 

・ラップ

ラップのリリックを考察するなんてもっともっと野暮だよなごめん樹!!!

 

No hope!

「希望は無い!」

ええ〜! 言い切りましたね…(笑)

 

抵抗なき敗走、自主最高速度制限

「抵抗することなく負けを認めて逃げてしまっている、自分で自分に速度制限をかけてしまっている。」

かなりマイナスなことを言っていますね。NAVIGATORを疑う気が起きるよりもだいぶ前まで時制が戻ったようです。

そういえば、Imitation Rainの樹ラップもメロディーパートより少し暗い内容だった気がします。人生の意味を問うたり、周りに責められたり、心を剃刀の刃で切り裂かれたり。

 

透明な規制線に守られたる数多の後悔

「見えない規制線で守られて、その外へ行かせてもらえなかったことで、数え切れないほど後悔してきた。」

う〜〜む、SixTONESの現実とリンクする気も……

 

退きな、間抜けに黙ってればこのまま抜け出せない

ここは読んで字のまま。

 

当ても無く ただ吹かす この Round & Round

「どこへ行くかも決めないまま、ただぐるぐるしているだけ。」

渋滞の灯りの表現「round & round」が再登場しました。あの停滞感をここでも表しています。

 

"The ray is chasing for one truth"

「『光線は唯一の真実を探している』」

京本さんが喜びそうなフレーズだな。自分のパートでよかったね。

 

"The way is waiting for lighting..."

「『道は光るのを待っている…』」

 

How go out? 瞬間よぎる Retire

「どうすればここから出られるのか? 一瞬、退却という選択肢が頭をよぎる」

 

臆病風 Like a papers?

「紙切れのように臆病風に吹かれるのか?」

 

否、踏み込めなきゃ Just go around

「いや、一歩踏み込まなくてはただ周りをぐるぐる歩くだけ」

 

Yo guys! Yes "Go".  No "Back alright".

「なあお前ら! 『行け』を選べ。『よし、戻れ』には従うな。」

クソ意訳ですいません。

 

ノーブレーキ 当然 Break it.

「ブレーキなんか使うな。当然、そいつはぶっ壊せ。」

 

さぁ、そこ退け Tired

「さぁ、疲れたやつらはそこを退け。」

tiredを名詞として扱っていいのか微妙ですが……いかんせん丸2年英語を学んでいない……

形容詞が名詞の代わりになるような用法、あった気がする、あることにしよう。

 

"The ray of hope will be flaming" (Oh, flaming)

「『希望の光線は燃え上がっているだろう』」(そう、燃え上がっている)

 

"道無きを誘う"

「『道無き道を進め』と誘う。」

ここでの誘いはNAVIGATORのものではなく、「Way of the light」や「The ray of hope」によるものでしょう。

 

"pitched up"

冒頭に同じ。

そういえば冒頭は大文字で、前に「…」がついていましたね。この違いは何か意味があるのでしょうか……

とりあえず強調の意としておきましょう。

 

この後はサビを繰り返して、最後にジェシーのこのパートですね。

Unlimited...

Get no scared... Unlimited...

「無限大。恐れるな、無限大だ。」

この「…」は、冒頭の「…」に戻る意味もあるのかもしれません。

 

 

〈MV考察〉

さて、歌詞はの対比が印象的でした。

MVでもこの「闇」と「光」がふんだんに使われていますね。

 

ダメ押しでもう一回貼っときますか。

 


SixTONES - NAVIGATOR (Music Video) [YouTube Ver.]

 

今回のMVも、1stシングル『Imitation Rain』と同じ、安田大地監督による作品です。

Imitation Rainの演出と同様、現実とCGの融合が図られており、独特の世界観に仕上がっています。

 

前回は「CGの−現実の」の組み合わせでした。

今回は「CGの街(闇)−現実のが組み合わさっています。

 

歌詞の内容からもわかりますが、CGで表現された前回の「雨」 と今回の「街」は、SixTONESを阻む存在、そしてSixTONESが突破するべき存在。

そして、現実のものを使った前回の「炎」と今回の「光」は、SixTONESの後押しとなる存在、あるいはSixTONESそのものです。

 

動画の概要欄にはこのような文章が記されています。

照明だけで作られた無の空間 CGで作られた空想の街

クールで無機質な世界に熱と命を吹き込む6人

 

 

では、シーンを追って見ていきましょう。

 

冒頭はCGの世界から始まります。

屋上のメンバーが、

ジェシー:街に背を向けて悠々と腰掛け、ちょっと下を覗いている

京本大我:立ち尽くし、少し視線をずらす

松村北斗:塀の上へ猫のような身のこなしで飛び移る

森本慎太郎ジェシーより動き出しやすい姿勢で、膝を立てて街に背を向けて座っている

⑤髙地優吾:街の方向を向いて座り、曇り空を見上げている

の順で登場します。

 

そして「...PITCHED UP」でもう一度、立ち上がろうとするジェシーが映り、その後ようやく、

⑥田中樹:屋上の縁に立って下を眺めている(カメラには背を向けている)

が登場します。

 

各々意味ありげな挙動ですね。

 

 

最後まで見た方はもうお分かりだと思いますが、この田中樹という男はこのMVでとても重要な役割を果たします。

主人公的な存在と言ってもいいのではないでしょうか。

 

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全員のショットでも、目線の高さを見据えている他のメンバーと違い、樹一人だけがやはり下を覗き込んでいます。このビルの下には一体何があるのでしょうか。

 

それについてはまた後ほど触れるとして。

 

 

歌唱が始まると、実写パートに移ります。

個々の表現には深く触れずに、主に空間演出を確認していきます。

 

実写のシーンは2種類。

 

(1)全員で踊るシーン

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青い光(ラップパート以外は)が激しく交差する、コンクリ打ちっぱなしのだだっ広い空間です。公式の言葉を引用するならば、〈照明だけで作られた無の空間〉。

 

(2)個人のシーン

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白い壁で挟まれた狭い空間です。向こう側は全くの真っ暗闇。足元には光が走っています。

 

 

樹のラップパートのみ、ピンク色の光が使われます。

「No hope!」の瞬間から色が変わります。

時制が巻き戻った瞬間ですね。

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もちろん樹のピンク髪が活きていますが、もう一歩踏み込んでみましょう。

 

ラップの歌詞は、いわゆる「渋滞」に巻き込まれている最中の苦悩を描いていましたね。

このピンクの光はテールランプ、つまり「渋滞の真っ赤な灯り」を表している、とは考えられないでしょうか?

 

また、渋滞につきものの赤い光と言えばもう一つ、赤信号がありますね。

 

と来れば、この青い光が青信号だという解釈はどうでしょうか。

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Yes "Go".  No "Back alright".

の、「Go」の青信号です。

ここまで来ると単なる憶測ですが……

 

 

また、個人シーンの白い空間。

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こちらは、歌詞で言うところの

Way of the light

すなわち「光の道」を思わせます。

 

 

さて、曲の流れに戻りましょう。 

ラップパート後半から、樹だけがCGの世界に戻り始めます。

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そして、2回目の「pitched up」の直前から新たなシーンが追加されます。

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一面の光を背に、シルエットになった6人。

 

ここでのNAVIGATORポーズが、期間限定盤のジャケット写真と同様、

ジェシー=神戸 / 他5人=春

となっていることはみなさんお気づきのことでしょう。

 

 

その直後の流れは以下の通りです。

①京本:「光の道」で「道無きを誘う」

ジェシー:横顔アップ&「青信号」で「pitched up」

③全員:ダンス

④慎太郎→北斗→髙地:「青信号」の中を走り抜ける

ジェシー:「青信号」の中で佇む

⑥樹:「屋上」で走り出す。全員のダンスシーンと交錯する

ジェシー:「青信号」の中で両腕を広げると、いつの間にか「屋上」にいる。そのまま背中から下へ落ちていく。

⑧樹:駆け足のまま、「屋上」から下へ飛び降りる

⑨京本:「一面の光」で「Hey, you!」

 

一連のシーンがMVの中で最も印象的ですね。

 

 

続くラストのサビで、〈CGで作られた空想の街〉の全貌が明らかになります。

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地面をよく見てください。谷底のような道路を。

この道路、渋滞してるんです。

 

 

冒頭の樹は、この渋滞を覗き込んでいたんですね。

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樹は悩み迷いながらも、最終的には意を決して屋上から飛び降ります。

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一方、ジェシーは最初から悟っていたかのように、背中から静かに落ちていきます。

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すると次の瞬間、SixTONESはビルの壁面に立っているのです。

重力という、「当たり前の法則」に逆らって。

 

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まるで、重力に従って地面に這いつくばる無数の車たちを嘲笑うかのように。

 

 

そして最後の最後には、CGの街が砕け散ります。

 

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これ、闇の街がCGで、光の空間が実写であることに、ものすごく意味があるんです。

お気づきですか?

 

 

歌詞の中で、主人公が囚われていたのは「」そして「渋滞」。

彼の救いとなるのが「」でしたね。

 

MVの中では、闇に囚われている現状こそがCG、つまり虚構なのです。

そして、光が現実

 

そう、

「みーんな渋滞に捕まって疲弊しているけれど、お前らが現実だと思ってる闇や渋滞は全部、嘘っぱちなんだぜ。それに気づけば、こんな仮想現実の決まり事(重力)なんか、軽々と破ってぶっ壊せるのさ。」

 

このMVの世界観とストーリーには、こういった構造があったんです。

 

でも、今まで現実だと思っていた世界を疑って、実際に法則を破ってみようだなんて、簡単には実行できません。

下手したら命を落とすかもしれないのです。

 

それでも、樹は、ジェシーは、SixTONESは、意を決して飛び降りました。

 

そして、世界の正体を暴くことに成功したのです。

 

 

歌詞を思い出してみてください。

この歌における「NAVIGATOR」は、データに基づいて機械的・常識的・現実主義的な判断を下す存在でしたね?

 

数字のデータで出来上がった、デジタルな存在。

 

CGの世界そのものではありませんか?

 

 

このMV、思っていたよりも歌詞とリンクしてるんですよね。

渋滞の描写も然り。

私も歌詞を読み込んで記事の前半を書いてからでないと、ここまで気づけませんでした。

 

 

現実みのある街が虚構で、

非現実的な何もない空間が現実

 

つまり、

私たちが現実だと思っている世界は、実は虚構かもしれない。

当たり前だと思っていた常識は、ひょっとしたら疑えるものなのかもしれない。

 

わざわざCGでリアルな街をつくってみせることで、このMVは、そういったメッセージを私たちに投げかけているのではないでしょうか。

 

 

 

こういったバーチャルな世界像を用いての試みは、映画『マトリックス』(未履修で申し訳ないです)をはじめ、数々の映画・アニメ・ゲームなどで行われています。

と、ちょうど今期の大学の授業で教わりました。先生ありがとう。授業を受けなかったら、こんな考察はできなかったかもしれない。勉強は偉大です。

 

そう考えると、このMV一本でちょっとした映画に匹敵するくらいのことをやってるんですね。

安田監督すげー……

 

 

さて、最後に一つだけ残ったこのシーン。

 

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救いの象徴である「」に満ち溢れ、

一切の迷いがなくなった世界でしょう。

 

 

囚われていた虚構の世界をぶっ壊し、

SixTONESは彼ら自身の秩序で、どこまでも突き進んでいきます。

 

可能性をゼロの先へ。Unlimited.

 

 

 

 

 

と、いうわけで、言い残したことは何もないかな!?

先程、夜が明けました!! 徹夜!!!(笑)

 

今回あまり言及しなかったメンバーがどんな意味を持っていてどんな役割を演じているかは、みなさんそれぞれで解釈してみてください!!

私の手には負えん!!

たぶんそういうのはみなさんのほうが得意!!!

 

 

いや〜、一つの作品に徹底的に当たって考察するの、めちゃくちゃ楽しいっすね……SixTONESこの先もこういうのばっかり作るのかな、やみつきになりそう……

 

さて、朝の5時になってしまいました。私は寝ます。

NAVIGATOR買ってね!!!!!!

 


SixTONES - NAVIGATOR (Music Video) [YouTube Ver.]